ちょっとだけ冒険記

インドアな冒険ばっかしてるのです

【クロノクロスRD】運命と選択、そしてクロノクロス【ネタバレあり感想】

スポンサーリンク

f:id:asamushi:20220513103125j:image

4月はクロノクロスRD(ラジカルドリーマーズエディション)をガッツリとプレイしていました。

ちまたではガッカリリマスターなんて言われているようですが、個人的には超優良リマスターでしたね。

 

実は数年前にオリジナル版を遊び直したときもあったのですが、オリジナル版が初代PSだったこともあり、ガクガクボケボケのポリゴンとモッサリしたバトルのせいで中盤あたり(物語が複雑になるころ)で放置してしまいました。

しかし今作はリマスター版独自の快適に遊べる機能や、背景などの美しい美術などのおかげでクロノクロスの世界にのめり込み、サブイベントもそこそこ回収しながらグッドエンドまで見ることができました。

 

今回はクロノクロスの思い出と、ストーリーについての考察や感想についてを語っていこうと思います。

ネタバレあり(解釈違いもあり)なので、気軽に読んでもらえればと思います。

 

f:id:asamushi:20220513103226j:image

 

 

クロノクロスRDのリマスター要素の感想

最初にも言いましたが、個人的に今作は良リマスターでした。

Twitterなどでは「フレームレートが低い」なんて批判をよく見ますけど、それはおそらく今作で追加された1周目からの早送り機能を使っているからであって、通常のスピードで遊んでいればコマ落ちや遅延などはほぼ無いハズです。

そもそも本作はリメイクではなくリマスターであるので、単純にオリジナル版よりグラフィックやロード時間が改善されていれば、それだけで充分に良リマスターであると言えます。

 

あとは今作独自の機能である「ザコ敵とのエンカウント無視」は超有用でした。

本作はRPGでよくある”敵を倒してLvを上げる”という成長システムではなく、むしろ最低限のザコとストーリー上のボスを倒していくだけの方がゲームを進める上でも効率が良いので、この機能のおかげでゲームプレイに集中出来ましたね。

また、ラストのイベントバトル時には「キャラ強化機能」も役に立ちましたね。本作はボス戦がけっこう難しいので、新規向けにも良い配慮だと思いました。(新規向けにオススメしたいゲームではないけど)

 

唯一味方キャラの「ツマル」というキャラの能力値バグ(正確には攻略本(アルティマニア)に仕様として記載されている能力値)について一部修正又は反映されていないのが残念でしたが、まぁこのゲームは2周目以降は全キャラがそれなりに強くなってくれるし、ある意味誤差っちゃ誤差なので許しました。

グラフィックが良くなったことで「ツマル」がより可愛く表現されてるので全然許せます。

 

f:id:asamushi:20220513103245j:image

 

あとはほぼ原作に忠実にリマスターされていて特段バグも無さげなので、本作をプレイして思い出に浸るには最高のリマスターではないかなと思います。

何度も言いますが新規にはおススメできるゲームではありません。理由は後述。

 

f:id:asamushi:20220513103235j:image

クロノトリガーのスピンオフとして

クロノクロスは名作「クロノトリガー」の続編として位置づけられていますが、どちらかというとスピンオフとして楽しむのが良いです。

理由としては、本作は前作クロノトリガーの20年後(AD1020)の時代が舞台でありながら実は地続きの世界線ではなく、クロノトリガーの世界設定を踏襲した可能性のひとつ(並行世界)であるからです。(しかもそれが明確には説明されない)

そもそも本作がパラレルワールドをテーマとする物語である上に、設定が複雑であり難解であり説明不足であり、そもそも作者が「破綻している部分がある」と言っているので、真正面から続編として認識してしまうと疑問に感じる部分が多々あります。

 

クロノトリガーが冒険活劇として名作として扱われてるのは、細かい設定のおかしな点はありつつも、鳥山明のキャラクターと週刊少年ジャンプのような分かりやすいストーリーのおかげでした。

しかし、クロノクロスは時間の書き換えによる影響、選択の数だけ存在する無限の並行世界などといった扱いきれないテーマに手を出し、更に設定に設定を上乗せしてしまったがために、まとまりのつかない説明不足なストーリーとなってしまいました。

そのくせサブキャラクター(仲間キャラ)の数だけは異様に多く(総勢45名)、いろんな面が取っ散らかっているゲームであるため、クロノトリガーのファンが作った同人ゲーム的なノリで楽しんだ方が良いです。

 

新規におススメ出来ないと何度も言っているのはこのあたりの理由ですね。

キービジュアルだけを見て初見で楽しもうと思っても、クリア後には脳内が「???」となるのが目に見えています。(所見ではグッドエンドはまずムリなので尚更)

楽しむうえでクロノトリガーの知識を求められる上に、実はそれが並行世界上のできごとであり、更にクリア後には考察をしないと楽しめない物語なので、初見では謎のストーリーという評価になるのも当然です。

 

それでも私は本作、【クロノクロス ラジカルドリーマーズエディション】をプレイして、「クロノトリガーと同じくらい好きな作品」というところまで評価を上げることができました。

クロノトリガーはエンタメとして面白いゲームでしたが、クロノクロスは人生の哲学として考えさせられ、楽しめる作品だと感じました。

 

f:id:asamushi:20220513103253j:image

自身の運命と選択についての哲学

本作では、人が無意識の中で歩むべくして歩む大きな流れのようなものとして運命(フェイト)という存在と、人生の重要な選択によって並行世界では全く別の道を歩んでいる多数のモブが登場します。

また、それらの運命や選択には一切の意味もないというセリフもあります。

人生を、ただ海の波が押しては引いて、意味もなく永遠に繰り返すだけのものと語られる描写もあります。

 

このあたりが本作のテーマであるのでしょうが、オリジナル版(1999年)をプレイしていた当時小学生の私はまだ人生観(運命)など見えておらず、選択肢と言えない程多くの選択ができた頃なので、全くこのゲームの良さが分かりませんでした。

ただ、何故か引き込まれる美しいBGMと世界のせいでこのゲームを一気に3周し、3回バッドエンドを見ていた記憶があります。(ルッカハウス、クロノクロスの存在すら知らなかった)

 

20代の頃(10年以上前)に一度設定などを履修した上でニコニコ動画にあった実況動画を見たこともありましたが、そのときも電波なストーリーだなと思ったくらいで、あまり感動はしませんでしたね。

そのときはエンディング曲に惹かれてサントラだけ買いましたね。今でも聴くくらい好きなCDです。

 

脱線しましたが、今になって本作が好きになれたのは、私自身が人生の大きな選択をし終わってきて、人生を省みる時期になったからかなと思います。

例えば、今からでも仕事を辞めて起業するとかは不可能ではないですが、クロノクロス流に言うと【運命に逆らうものは殺される】【(選択により)殺された未来からの復讐】というような結末が待っているのは目に見えています。

また、それらの選択には、この宇宙には実は一切の意味がないこともクロノクロスでは問いかけられます。

私が死んだあと、私がしてきた善い行いや悪事について、確かに覚えていてくれる人がどれくらいいるだろうか?と時々考えることがありますが、ちょうどクロノクロスはそのあたりのアンニュイな部分に寄り添ってくれる作品でした。

 

こういった人生観について、「どうせ自分の人生に意味なんてないんだから、自分の責任の持てる範囲で気楽に楽しめばいいんじゃない?」というのが20数年ぶりにクロノクロスをプレイした私の答えですね。

まぁ簡単に「人生を楽しめ!」なんてのは言えちゃいますけど、楽しむために面倒な事や辛いことがあるのも人生で…。

「人生の一切に意味がない」と偉人のように達観している風のスプリガンというキャラも、シャバに出たとたん大はしゃぎして喜んでるので、それくらい適当でいいというメッセージかもしれません。

 

f:id:asamushi:20220513103240j:image

今の自分とクロスする物語

クロノクロスは、オリジナル版発売当初は前作との比較でかなり批判された作品だろうと思いますし、本作の良さを掬い上げることができた方はかなり少数だったことでしょう。(海外では当時でも結構な人気を博したらしいが)

ですが、私自身もようやくクロノクロスRDのおかげで本作が好きだと言い切れるようになったので、本作のおかげで「感性が成長した」みたいなカタルシスを感じることができました。

 

物語冒頭でレナが海辺で波のまにまに思いを寄せるシーンも、オッサンになった私にはぶっ刺さりまくりましたね。

「私達が産まれるずっと前から、ひいてはよせて、気の遠くなるような長い時間たくさんのものを見て」

「10年、20年経って、そんなある日ふとね、そのとき私達、どんな生き方をしてるんだろう」

ところでリマスター版のレナしゃん、可愛すぎると思うんですがどうですか?初見じゃまず仲間に出来ないのがクロノクロスらしいポイントですね。

 

f:id:asamushi:20220513103257j:image

 

あとは、今(おぢさん)になってみると、キッドがメチャクチャ可愛いかったです。

おぢさんは活発な若い娘がみんな好きなので、ああいう男勝りでグイグイくる女子は是非とも身近に欲しい人材ですね。

これも小学生の頃の自分にはわからなかった良さなので、「自分の感性が成長した」と実感できる部分ですね。

 

物語での説明不足な点も、「納期とか間に合わなかったんだね」と許せちゃうのも、私が大人になった証拠ですね。

大人になると、色々折り合いをつけていかないと生きてけないですからね。

ヒゲが青くなっていくこととか、血糖値とか血圧が高くなっていくこととか。

 

そんなわけで、冒険譚として楽しむのは難しいクロノクロスではありますが、南国風の美しい舞台を背景に、今も作曲家として大活躍中の光田さんの素晴らしいBGMを味わえ、人生につかの間の一呼吸を置かせてくれる、本作はそんな良きゲームでした。

 

おまけ:ラジカルドリーマーズについて

クロノクロスRDには、それこそクロノトリガーのスピンオフといいますか、クロノクロスの読み切り版みたいな位置づけの、【ラジカルドリーマーズ】というサウンドノベルゲームが収録されています。

私はクロノクロスクリア後にこちらの方もプレイしてみたのですが、短いながらも意外と面白く、ラストも超展開ながらクロノクロスのEDに近いものとなっていて、クロノクロスを遊んだ後だと「なるほどな」と思う点が沢山ありました。

【ラジカルドリーマーズ】の方がテーマを絞っている分、ストーリーが分かりやすい感じはしましたけど、当時この作品がクロノトリガーの続編だと知っていた人がどれくらいいたんでしょうね?(というか当時何人の人が遊んだんだろう)

 

クロノクロスの沼にハマりたい人は是非遊んでみるといいと思います。

アルティマニア(電子版がオススメ!)を読んだ後だともっと楽しいかも。

 

 

スポンサーリンク